七色のとら 作
あたしん中で泳ぐ魚
小さい魚に恋をした
出口は教えてやんないから
見つけるまで端っこまで
何よりも澄んだ世界
どこまでも先が見えるのに
端が見つからないから居心地よくて
胸をなでおろす
君は他の海を知らない
この海が全て
『水槽の中』
七色のとら 作
帰ってきたくなったら帰っておいでと言いました
全てのいとおしいものたちへ。
待ってることは苦手ですが、待っててもらうのはとても嬉しいので
だから待っている素ぶりをします。
それでもいいですか。
またね。帰ってきてね。
ここにいるから。いつまでも。
だって思い出して欲しいんだもん。
根っこを縛り付けておきたいんだ。
わたしは点であり、
ひとつの人生は線なのです。
そして時々線と線が交わります。
ある一定の期間、それは歯車があったみたいに面白いほど噛み合う
生きていると極まれにそんなことがあります。
当たり前のようだけどそれは奇跡に等しいこと。
そんでまた二つの線に戻り、それぞれの道へと帰っていく。
それだけのこと。
だから寂しくはない。
(もう二度と交わることはないと本当は知っているけど。)
『点と線』
七色のとら 作
口にしたら今にもとけちゃいそうな
そういうものの名前には何でも「あ」がついてる
おりこうさんにはサンタクロースがやってくる
そうでなくても誰かが誰かの特別になる
本当に欲しいものが近くにずっとあるなら
今手に入れたいもののうちで いらないものがほとんどだ
間違いだらけ
ボタンの掛け違いみたいに
あたしの心は
いつもちぐはぐだ
『掛け違えた』
七色のとら 作
色々な表現方法を使う中で
ループと輪っかがリンクする
縦にも横にも斜めにも 大きく広がってるのが見えるでしょう。
多くのその中で いったい何番目に
ブツ、をいただけるのでしょうか。
多くは順番待ち。
そんな中、
わたしははここにこうしてちゃんと立っているというだけで
それを褒めてあげなきゃ崩れてしまうと思うのだ
こんなにも脆く崩れやすい。
しかしあなたはここにちゃんといるのよ。
唯一のものがあるはず。
沢山ある中で、表現とは手段でしかない。
つまり、わたしが わたし自身で居続けるため、ただそれだけの。
その生命力ともいえよう表現に勝るものはない。
だから見つけてしまったあなたには敵わない。
それを取り上げたら死んでしまうものね。
偽者だと思ったら負けてしまう。
『唯一これだけという強さ』
七色のとら 作
昨日があり 今日があり 明日があって そんで 毎日問題が山積みなのは変わらなくて、
全部解くことは無理なので かなり遠くを見て予測して、
今より少し先を見て、一所懸命ただ目の前の問題の中から必要なものを選び出し、ひたすらそれを解いていく毎日。
人生は数学の問題をノートの上で説いていく感じにとてもよく似ているな、と思う。
はじめてのは時間がかかる。
その公式の頭になるまで、新しい定義と定理に慣れるまで
でも慣れてしまったら応用だろうとすらすら解けてしまう。
一度解いた問題は自転車のように。
そんで同時に問題を探すこともしていかないと、
ずっと同じ問題を毎日やるというのは苦痛以外の何ものでもない。
レベルアップしていく毎日。
今以上難しいものを探すには
自分が枠の外に抜け出さなければならない。
数学
七色のとら 作
少し笑って少し泣いて ありがとうと言った
あまたある中で
走り去る中で
テープを巻き取るように
わたしは幸せだと思った
静かに握り締める
喉の奥に本当に知っているもの
君に 教えたいよ そっと。
『そっと』
七色のとら 作
欲しがるなら
あなたにあげましょう。
これはね、いつか使おうと思って大切に取っておいたものだよ。
でも、今日がその日みたいだから
惜しみもなく
あげよう、あなたに。
そう言って手の上に乗せた小さな箱を
大切そうに差し出す。
この日を待っていたので
とても嬉しくて、涙が出そうです。
『ちいさなて』